カスタマー平均評価: 4.5
アナのまっすぐな瞳に惚れました 冒頭、父親が浮気相手の上で腹上死する。 驚いて逃げ出す恋人のあとに、父親の部屋に入り、コップを盗み出し洗ってしまうアナ。 父の葬式のあと、叔母が残された家族の面倒をみるために引っ越してくる。 死んだ父親の相手だった女性の夫との恋に悩む叔母、過去の思い出に浸る身障者の祖母、姉と妹、住み込みの家政婦の6人の生活が始まる。物語は現在大人になったアナ(ジュラルディン・チャップリン)がナレーションをしながら、小学生のアナが、亡き母親(これもチャップリン)のことを思い出す形で進んでゆく。 夫の浮気と自分の病の痛みに苦しむ母親 痛みのないときにアナに優しくしてくれる母親 アナは頻繁に母親の夢をみる そして・・・ 大人になったアナにナレーションをさせる理由はわかりませんが、3つの時間軸が入れ替わりながら幻想的にシュールな話がすすんでゆきます。 映画の出来としては、内容と正反対に甘い主題歌といい、ぶっ飛んだラストといい、破綻していると思います。 サウラの手に負える役者達じゃなかったというしかないでしょう。 名優ジュラルディン・チャップリンの技とアナの個性のぶつかり合いを楽しんで下さい。
人生はリセットできないものだということを学ぶ少女 子供にとって世の中は虚実ない交ぜの世界。死んだはずの母が枕辺に現れたり、父のベッドに別の女性がいたり、そんな出来事の一切合財を少女アナは現実のものとしてとらえていきます。自我の目覚めと世の中を認識する力との間にまだ大きな隔たりがあるために、幼いアナには社会の清濁をあわせ呑むだけの度量はまだありません。 彼女は受け入れがたい社会の現実を<リセット>することで乗り切ろうとします。彼女が押すリセット・ボタンは棚の奥にしまった古びた缶に入った白い粉。しかし、死んだ母が毒だと彼女に教えたそれが何であるかを彼女は知りません。ここにも母の言葉のすべてを真実としてしかとらえられない少女の姿があります。 父親を殺してリセットしたはずの社会に、新たにパウリーナ叔母さんが受け入れがたい存在となって立ち現れます。もちろん叔母さんは実の姉を亡くした深い悲しみの中で、幼い三人の姪へ精一杯の愛情を注いでいるのですが、アナにはそれが見通せません。 映画のラストでアナは自身が押したリセット・ボタンの正体を知ります。そしてやがて彼女は、人生がリセットのきかないものであることをも受け入れていくことになるのでしょう。 大人になるということはこれまで歩んできた道を消し去ることではなくて、歩いてきた道のりの積み重ねの上に成り立つのだということを、この映画は静かに幻想的に語りかけているのです。 この映画のメッセージをアナが肯定的にとらえられる日が来ることを祈るばかりです。 なおタイトルの「カラスの飼育」の由来は「Cri'a cuervos y te sacara'n los ojos.」(カラスを育てて目をくり抜かれる=飼い犬に手を噛まれる=恩をアダで返される)というスペインの諺です。叔母さんから見ればアナはカラスというわけです。
無邪気って怖いな アナ・トレントといえば、「ミツバチのささやき」の方が有名であるかもしれない。ともかく、当時9才である 彼女の瞳が恐ろしく綺麗。 「アナの魅力だけの作品である。」と酷評する人もいるようだが、私は「ミツバチのささやき」よりも好きな作品だ。 複雑な環境の中、父母を亡くした少女が姉の妹に育てられる事になり、毒薬(と彼女が思っている)をその叔母に盛ろうとするのだが・・・ 「眠れないの?・・・」「眠れないの・・・」 彼女の幻影に、母が出てくるシーンが印象的だった。 グレイゾーンが非常に多く、難解な映画である。解釈は人によってそれぞれであろう。 この映画に子供の「無邪気さ」は感じられない。 ・・・無邪気であるがゆえに、怖いのだ。
アナ・トレントは可愛すぎる ビクトル・エリセ監督の名作「みつばちのささやき」で発掘されたアナ・トレント主演映画。スペインが生んだ名匠カルロス・サウラが監督だけに、しっかりとした味わい深い作品だが、アナだけが目立ってしまう。彼女のファンのために作られた映画なのでは思える。アナはまだ幼少なので、演じるには少し酷なダークな内容だったように感じる。脇役もチャップリンの娘であるジェラルディン・チャップリンなど名優が固めており堅実な作り。シックで、ダークな映画。
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