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憧れの国
町中に音楽が溢れる憧れの国・キューバ。音楽を少し鳴らせばすぐに「騒音」になってしまう日本とはいろいろなことがとても対称的なように感じた。人生を豊かにするために本当に必要なものはなんなのか？　「お金」と「最新情報」を追いかけることに疲れを感じたら、この映画を観て異国の地のノスタルジアに浸りましょう♪
ただただかっこいい・・。
　観ているだけで暑そうな庭でギターの弾き語りをする老人。 　汚い台所で、ガスコンロをたたきながら、踊りまくる、太った主婦。 　決して豊かではなさそうな人々たち。 　しかし、彼らには、音楽が、ダンスが、そして、幸福がります。 　悲しい歌詞でも、世にも美しい声で歌えば、それは天国への歌になってしまうのです。 　そして、どんなに年をとっても、太っていても、幸福を求めて汗をかきながら踊り歌う人は、美しい。 　 　二時間近く、私は「かっこいい」とはこういうことなのか・・・。 　と、うなづき続けました。
ほんとうの恋の唄
なによりも印象的なのは即興のセリフです。プロとかアマとか、ミュージシャンなんて言葉さえまるで意味がないくらい、音楽家と聴衆をこえた唄が、悲しく、美しく、流れつづけます。素朴なキューバの風景と、人の暮らしが画面いっぱいに広がって、聞こえてくる恋の唄の、そのメロディの美しいこと。
抱きしめるのが怖い、あなたを失いそうで――

年老いた放浪のギタリスト“ガジョ”が唄う“ベサメムーチョ”は、アメリカ経由の輸入品に過ぎなかった日本のラテンブームで流れたそれとは、まったくちがいますね。それがあたりまえのように、磨かれたことばで、美しい恋の唄がつづきます。

この胸の痛みをどうか取り去って／耐えられないわ、こんなに遠く離れて／深い悲しみのなかで／愛が消えてゆくの――
せつない恋の唄の、底に流れているのはブルースです。
あなたの側にいると時がとまる／死ぬほど傷ついた心の痛みも忘れる――
素朴ですが、よく選ばれている、ほんとうの恋の言葉が胸をうちます。