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[ DVD ]
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エス・クラブ ザ・ムービー クローン人間をやっつけろ !
・ティナ・バレット ・ジョン・リー
【ソニー・ピクチャーズエンタテインメント】
発売日: 2003-12-19
参考価格: 3,990 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 11,078円〜
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・ティナ・バレット ・ジョン・リー
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カスタマー平均評価: 5
この日が来るなんて!! S CLUB の映画が日本登場!!!大びっくり!! 内容的に先は読めたりするけどそこは愛嬌!! 歌はもちろん、踊りも演技もあり、S CLUBの代表の DON'T STOP MOVIN’ も NEVER HAD A DREAM COME TRUE も入ってて言う事なしです。 この映画は、4thアルバムが中心なので大人なS CLUB といった感じです。今はそれぞれの道に行った彼らの最後の集大成と言える作品で、誰でも楽しめる作品なのでいろんな人に見てもらいたいです。 結構笑わせてくれますよ。
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[ DVD ]
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商船テナシチー [DVD]
・アルベール・プレジャン ・ユベール・プレリエ ・マリー・グローリー ・マディ・ベリー
【アイ・ヴィ・シー】
発売日: 1999-05-25
参考価格: 3,675 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 11,022円〜
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・アルベール・プレジャン ・ユベール・プレリエ ・マリー・グローリー ・マディ・ベリー
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カスタマー平均評価: 4
対照的なふたりの男の物語 フランスのル・アーヴル港を舞台に、若い男女の三角関係を描いた。バスチアンとアルフレッドのふたりはカナダ行きの船に乗るためにやって来たのだった。ところが、船の出航がおくれたためにふたりの運命には予想外の結末が待っていた。
バスチアンは口八丁手八丁で女を口説くのがうまい。アルフレッドは口下手な男だ。ふたりのどっちがどうとかは言えない。ふたりとも確かにわたしたちの回りにいる、ということ。人生の縮図を描いてほろにがい物語だ。
ホテルの女主人はアルフレッドに「あなたはいいひとだ」と言葉をかける。港で知りあった老人は「あんたが当たりくじをひいたんだ」となぐさめてくれた。1934年の作で映像はよくないが、ジィーンとこころに残る。
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[ DVD ]
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ラ・パロマ [DVD]
・イングリット・カーフェン ・ペーター・カーン
【パイオニアLDC】
発売日: 2001-02-23
参考価格: 4,935 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 11,000円〜
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・イングリット・カーフェン ・ペーター・カーン
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カスタマー平均評価: 4.5
宝石箱や? ある男の一瞬の妄想を109分にした作品。
ダニエルシュミットがどういう人かはよく知りませんが、とにかくこの映画は最高です。
素晴らしい場面だらけですが、掘り出した女の死体が全く綺麗なままであったのを見て男が発狂するシーンに突然ミスマッチなポルカみたいなコミカルな曲がかかりますよね、、、未見の方には観ていただくしかないですが、もう最高です。たしか黒沢清の「降霊」にも同じような音楽使いのシーンがあったように思います。
監督自身の夢物語 いやー、素晴らしい構成の映画です。 どこまで現実か、どこから夢かは映画の終わりのほうでしかはっきりしないのですが、というよりこの映画がつまらないという意見を良く聞きますが、それはこの境界をはっきり認識していないためと思われます。 冒頭のクラブ。ここでのほんの一瞬の出来事だと思うんです。あとは主人公たる男の頭の中。好きな歌手(女)を愛情と誠意を持って、自分のものにして(途中、マザコン、ストーカー的な隠喩描写はあると思いますが)幸せの絶頂の「アリア」をアルプスを背景に歌うのです。人間の形をした妖精も登場します。もう天界の世界ですよ。 しかし妻にした女に裏切られ(不倫)その女を許すことが出来ない中、女は自由にさせてもらえる代償として結婚したと思っているので精神的に自分の殻に閉じこもります。 そして、「死」。もう夢はドラマティックにとばかりに幸せから不幸への展開。妻の遺言は、「夫への仕返しとともに夫の家族としての永遠の帰属」。 そのためには、夫は妻を「骨まで愛さなければなりません」(狂気を演じなければならないのです、夢のカオスの部分です)まさに熱情のこもったドラマティックオペラそのものの展開。 ふと気がつくと、冒頭のショーの会場。まさにこの映画の観客も夢を見せ付けられたわけで心地よいだましに遭うのです。 そして、表面下での主人公の男と女の激しく静かな感情のぶつかりあいとはべつに、映像は現実の物、人物を全て使って夢の世界を構築するといった素晴らしい構成だと思います。このことに気がついたときこの作品は大変、深い内容を含む愛すべき作品だと思うようになりました。BGVでもいい感じですよ。私は大変好きな作品ですが、確かに周りの評価は厳しいものがあります。しかし夢か現実か、その境界を楽しみましょうよ。 夢の世界は「オペラ」に匹敵するように作られております。愛の表現の機微として。DVDは音は悪く、映像はかなり傷がついております。しかし、そんなことより精神的浮遊感を楽しめることと思います。良いなあ、本当。
耽美的かつ狂気的 ダニエルシュミットの映像美は卓越したものがあります。ラ・パロマも、クラブの歌姫と彼女に入れ込み夫となった富豪の男性の悲惨な結末へのあゆみをを幻想的に描写します。耽美的、同時にあまりに衝撃的で、私としては同監督の他の映画、デジャヴ(原題、Jenatsch)などのほうが気楽に映像美と物語を楽しめました。残念ながらJenatschは絶版になっているようです。
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[ DVD ]
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カストラート [DVD]
・ステファノ・ディオニジ ・ジェラール・コルビオ ・エンリコ・ロ・ヴェルソ ・エルザ・ジルベルシュタイン
【コロムビアミュージックエンタテインメント】
発売日: 2005-03-23
参考価格: 2,940 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 11,000円〜
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・ステファノ・ディオニジ ・ジェラール・コルビオ ・エンリコ・ロ・ヴェルソ ・エルザ・ジルベルシュタイン
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カスタマー平均評価: 5
バロック音楽に興味があるひと、必見の映画 カストラートの声を聴くことはもはや不可能である。この映画では伝説の名カストラート、ファリネッリの歌声を低音域は男性歌手(カウンターテナーのデレク・リー・レイギン)、高音域はレイギンと声の合う女性歌手(エヴァ・ゴドレフスカ)の声を合成して作っている。岡田暁生が名著「CD&DVDで語る西洋音楽史」(2008年、新書館)でバロック時代のカストラートとその雰囲気を知るのに絶好と評し、時代考証もほぼ完璧と推薦している映画。音楽監督に古楽界のエース、クリストフ・ルセが関わっている。もはや通常販売されていないようで残念。
カストラートのカタルシス とある番組で「カストラート」について放送していたので、興味が湧き、購入して見てみましたが、期待以上の満足度でした。時代背景における衣装や建築物の豪華さといい、カストラートの声の再現、愛憎にからむ兄弟のカタルシスといい、刹那的で大変美しい。芸術性においても、個人的にとてもお薦めしたい作品です。
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[ DVD ]
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ルキーノ・ヴィスコンティ DVD-BOX2 3枚組 ( イノセント / ルードウィヒ 完全復元版 / 熊座の淡き星影 )
・クラウディア・カルディナーレ ・ジャン・ソレル ・マイケル・クレイグ ・マリー・ベル
【紀伊國屋書店】
発売日: 2003-12-20
参考価格: 16,380 円(税込)
販売価格: 12,782 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 11,000円〜
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・クラウディア・カルディナーレ ・ジャン・ソレル ・マイケル・クレイグ ・マリー・ベル
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カスタマー平均評価: 4
映画の真髄とは ビスコンティの作品には風格がある。映画の作風は時代によって変遷を感じるが、人間を見つめる目は一貫している。彼の作品は観終った後充実感をうることができる点で、一級であることは誰もが認めるところだろう。この3作品も、ネオリアリズモの作品から耽美的な後期の作品と入っているが、秀作ばかりである。ドイツを舞台のルードウィヒがイタリア語で作られているなど気にはなるが、緊張感のある映画世界に浸れるという点で、映画の真髄を感じられる。
強烈な自我 ヴィスコンティ作品のなかでThe Damnedと並んで最も暗いが、一過性でなく何百年も残る普遍性をもった芸術。ヴィスコンティは映画の黄金時代の最後の巨匠。人がまだ美しかった時代の。
トゥーリオは目の奥から演技する印象的な美男(裸はよくない)で、二人の美女も素晴らしい。作為がない。表情の動きをとらえ、感情を的確に表現する演出はほとんど神業。顔と裸体のドアップの迫力。比類なき色彩感覚。映画はこうあるべきだ。大切なのは奇抜なテクニックではなく人物の感情に沿うことだとわかる。セリフも少ない。映像と音楽ですべてを表現できるのが映画なのだ。
お気楽な人生などなく、性愛から逃げられない宿命を背負った人間。どのように生きようと人を愛せば一瞬の快楽よりも苦しみのほうが長く続く。この主人公には罪悪感はあった。でもそれは神に対する罪悪感ではない。神にざんげして許される罪などなく、矛盾にまみれて生き死んでいくのが人間。彼は自らの罪を「地上で解決する」ことを選んだ。単なる「無神論者」ではなく、どのように生きたとしても人間は無実なのだとヴィスコンティはいいたかったのではないか。キリスト教という権力のもとで、ヨーロッパ人は「神の子」として生きるよう縛られてきたが、この主人公は「人の子」として生きようとする。そこでどんな苦悩を味わおうと、闘って生きるのを選ぶ。なんという強烈なエゴだろうか!
このようなエゴイストを非難するのは簡単だ。でも人間は皆、多かれ少なかれ矛盾と罪にまみれた存在であるとともにかけがえのないものなのだ、イノセントなのだとヴィスコンティは語りかける。その視線は偉大で普遍的で、勇気に満ち溢れている。キリスト教が地獄に落とす人間が救われる思想がここにある。
ラストシーン、愛人が去っていく後ろ姿のストップモーションがとても美しくて大好きだ。突き放したように客観的な目とリリシズムがたまらない。
心に爪あと残す名作 *劇場公開版(修正版)のレビューです
見ている間は辛く、面白いという思いには全くならなかったが
悔しいかな見終わった後にずっしりと心に残る。
フェリーニの作品もそうだが、イタリア映画にはこういったものが多い気がする。
(まあ日本に入ってきて評価されているのがたまたまそうなのかもしれませんが)
見ている間中、主人公たちの俗物ぶりに嫌気がさす。
社会的な身分も経済力もあり、一般人がうらやむような生活をしているのに
俗物さが主人公たちを不幸にしていく。
一般人が、生活のこまごまとした事を相手にしなければならないので
むしろ見えてこないだけで、貴族という身分がむしろこうした人間の
愛憎を浮き彫りにしているようにも見えた。
評論家が言うようにビスコンティ自身の貴族に対する憎悪として
描かれているように私も感じた。
超人じゃない 原作ではトゥリオは自殺なんかせずに生き続けるのだが、ダヌンツィオが描いた主人公が「超人」だとすれば、自殺してしまったヴィスコンティ描くトゥリオは、超人であろうとしつつもかなわなかった自己愛の塊のように見えた。ラストでエルミル邸に招かれたラッフォー公爵夫人が「あなたそのもの」という息苦しくなるようなインテリアでそれを視覚的にも表現しているんだろう。このローマ本邸は母の住むバディオラやリラ荘とは全然違って、時代背景があるにしても、その主の精神が尋常でないことが表れている。
結局トゥリオは超人たらんとしていまだ超人たりえず、内部から崩壊して生き続ける未来の自分に耐えられずに自ら命を絶った、と私は考えたんだが、いかがでしょうか。
ところでヴィスコンティはこの重い映画でも、それ以前はわりに軽いキャリアしかない俳優であるジャンニーニやアントネッリを主役をやらせたり、「山猫」のバート・ランカスター同様、ハリウッドのジェニファー・オニールにイタリア貴族をやらせて、それが見事にはまっているのは、いまさらながら感嘆のほかない。
豪華絢爛、贅沢三昧 半身不随の上、最悪の体調で撮影にのぞまざるをえなかったため、かねてから映画化に意欲的だったトーマス・マンの「魔の山」をあきらめ、ダヌンツィオの「罪なき者」の制作に乗り替えたという。イタリア人のヴィスコンティが、晩年ドイツにこだわった理由は定かではないが、本作品が遺作となってしまったことはヴィスコンティの本意ではなかったにちがいない。
デジタルリマスター化された映像で見る、貴族たちが身につける衣装や、大豪邸のインテリアなどはまさに他を圧倒している。豪華絢爛という表現がふさわしい衣装を身に着けたラウラ・アントネッリ(青い体験の色っぽいお手伝いさん)やジェニファー・オニールは、きっと幸せだったにちがいない。サロンで開かれるミニコンサートのシーンでは、実際の貴族でもあるヴィスコンティの親族を登場させ、イタリア貴族の生活をこの上なく煌びやかに描いている。
俗流の超人を気取って、傲慢な態度を崩さない無神論者のトゥリオ伯爵(ジャンカルロ・ジャンニーニ)。横暴な夫から愛する人の子供を守るため、赤子に無関心なふりをする妻ジュリアーナ(ラウラ・アントネッリ)の<演技>が痛々しい。映画は、嬰児殺しという重たいテーマを扱ってはいるが、退廃という形容はあてはまらない。トゥリオが選んだ地上での決着も、貴族の最期を飾るにふさわしい華々しいエンディングだった。
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[ DVD ]
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叫びとささやき [DVD]
・ハリエット・アンデルセン ・イングリッド・チューリン ・リヴ・ウルマン
【ハピネット・ピクチャーズ】
発売日: 2002-01-25
参考価格: 5,040 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 11,000円〜
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・ハリエット・アンデルセン ・イングリッド・チューリン ・リヴ・ウルマン ・イングマール・ベルイマン
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カスタマー平均評価: 5
魂の叫び 映画と言う物が、生き物のように魂に訴えかけて来る。人間がこんなに尊厳があり、無知な物だと思い知らされる。ゴダールもアンゲロプロスもタルコフスキーにも出来なかった叫びだ。やはり映画は生き物だ!
神の息が聞こえる様な静寂 ベルイマンの作品においては、静寂が重要な役割を演じて居る。黒澤明監督の作品において、雨や風が、重要な役割を演じる様に、ベルイマンの作品では静寂が、重要な役割を演じるのである。??その静寂の中に、或る者は、神の存在を感じるかも知れないし、或る者は神の不在を感じるかも知れない。
この作品であるが、正直言って、良く分からない部分が有る。だが、そんな事はどうでも良い気がする。分かるとか分からないとか言ふ事ではなく、何かを感じる事が大切な映画なのではないだろうか。特筆すべきは、色彩の美しさで、赤を基調にしたカラー映像が素晴らしい。ベルイマンは、これも黒澤明と並んで、白黒作品で傑作を残した巨匠であったが、黒澤監督が、カラー作品に移行した際、作風が大きく変はったのと対照的に、カラー作品に移行しても、白黒作品での作風を維持し続けた監督であった様に思はれる。そして、もう一度言ふが、ベルイマンの他の作品と同様、この作品に溢れる静けさが忘れられない。??神の息が聞こえる様な静けさが。
(西岡昌紀・内科医)
赤い幻想 赤い部屋で繰り広げられる心理ドラマは観ているときはリアルでも、 観終わった後には、幻想を見ていたかのようです。 ひじょうにシビアな人間の捉え方ですが、エゴや偽善や虚栄心や孤独を 静かに丁重に綴った傑作だと思います。 ベルイマンの映画の中でも際立っていると思います。 映像も大変美しいと思います。ヨーロッパの映画が好きな方は是非観て下さい。固唾を呑むこと間違い無しです。
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[ DVD ]
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マダムと泥棒 [DVD]
・アレック・ギネス ・セシル・パーカー ・ハーバート・ロム ・ピーター・セラーズ ・ジャック・ワーナー
【ジェネオン エンタテインメント】
発売日: 2004-11-05
参考価格: 3,990 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 11,000円〜
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・アレック・ギネス ・セシル・パーカー ・ハーバート・ロム ・ピーター・セラーズ ・ジャック・ワーナー ・ウィリアム・ローズ
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カスタマー平均評価: 5
結末の付け方が秀逸 よく練られた脚本とすぐれた俳優がそろった泥棒映画の傑作。銀行の金をうばって安全な場所に移すトリックがみごとだ。泥棒がひとりづつ姿を消していく結末は、これがイギリス風のブラックユーモアか。
一人暮らしのおばあさんのケイティ・ジョンソンは親切でお節介焼きだ。彼女の古い一軒家は、とぼけたコメディにふさわしく、おとぎ話にでも出てきそうな雰囲気をはなっている。
教授を名乗るアレック・ギネスが部屋を借りて仲間の泥棒と作戦会議をひらく。作戦の一部がおばあさんを利用することで、ケイティの無邪気なお節介が計画を狂わせるが、どうやら無事に大金をうばうことが出来た。ところがまたもや彼女のお節介で計画がほころびていく。
5人の泥棒がおもしろい。イギリスの風俗も皮肉をもって描かれている。味のある犯罪コメディは一服の清涼剤。いまどきこんな映画はめったにない。1955年の作品だというのに古さを感じさせない。完成度が高い。
やっぱりオリジナル トム・ハンクスのLadykillersを見ていたら、だんなさんにオリジナルを見ろと言われ試しにみてみると。。。びっくり。あのオビワンが。。。アッレク・ギネスの演技力には脱帽。見る映画全てが別人。。。特にこの映画のアッレク・ギネスはすごい!始めはまったくあのオビワンとは気づかず、だんなさんに言われてうそばっかり。。。と疑ってしまったほど。トム・ハンクスは大好きだし、いい俳優とは思うけど、この教授をアッレク・ギネスの後に演じたのはちょっとかわいそうな気もします。教授の不気味さは言葉では表現できません。いい年超えたおじさん達が、イギリスのレディー達のお茶のお供をさせられたり。。。普通にこの泥棒たちは笑えます。笑えるけど教授は不気味。。。クラシック映画も悪くない、イギリス映画も悪くないと思わせる1作です。ハリウッド版を見た人は、絶対オリジナルのイギリスバージョンもみるべき!!!
ちなみにイギリス人のだんなさんいはく、この映画はイギリスが誇れる1作だとか。。。。
ヴィクトリアンはお好き? 50年代のロンドンにはヴィクトリア王朝時代の生活様式をまだ続けている老婦人たちのコミュニティが存在していたことが、この映画を観るとわかる。家族の写真や、小間物をごてごて飾り付けた小さな居間、外出の時に着るライラック色のコートと花飾りの帽子、胸元に黒いリボンのピンで止めた懐中時計。TVドラマのシャーロックホームズを隅々まで舐めるように観ていた人(私だ!)なら必ずや楽しめるはず。
名優アレック.ギネスが一見紳士風の悪党役で、怒っているときも笑っているようにみえる顔が怖い。
英国の義理と人情がにじみ出た犯罪コメディの傑作 老婦人を始末しようとする内容的には残酷なのに、どこか憎めない泥棒達と老婦人のやりとりが本当に楽しい。巧みな伏線をA.ギネスを初めとする芸達者がブラックに演じ(特に、後に「ピンクパンサー」シリーズで共演するP.セラーズとH.ロムのシリーズとは全く異なる演技を披露してくれることが楽しい)、真の主役といえるマダムが飄々と真面目に対応する演技と泥棒たちの慌てる演技が対照的で楽しい(マダムの前ではA.ギネスも霞むほどの名演)。犯罪コメディではあるが、英国の義理と人情がにじみ出た傑作。
一見、ドタバタ喜劇だが、その実、緻密な伏線を張った、ブラック・コメディの傑作 この映画については、某ミステリ小説の解説者が、ミステリ映画のベスト・ファイブに挙げ、「ミステリー・サスペンス映画ベスト150」(文春文庫、1991年)の36位に入っている作品と紹介していることを知り、早速、どんな映画かと、興味津津で観てみた次第である。この映画は、見るからに純朴そのもので何も知らない老婦人が、5人組の泥棒たちに現金輸送車を襲う計画に利用されるのだが、善意溢れるその老婦人の純真無垢な対応に、利用するはずの5人組の泥棒たちが、逆に、たじたじとなり、振り回され、きりきり舞いさせられるというお話だ。 観ていると、途中までは、評判ほどでもない、ありきたりのドタバタ喜劇の一つかとも思える展開なのだが、後半になると、ブラック・コメディといわれるゆえんが明らかとなり、結末では、コメディ・タッチの中にも、最初から緻密な伏線が張られていたことまで明らかとなる。こうした類いの作品が、ミステリ・サスペンス映画の範疇に含められるかどうかは別にしても、「ブラック・コメディの傑作」の名に恥じない作品とは断じていいだろう。 ちなみに、この作品は、イギリス・アカデミー賞の最優秀脚本賞を受賞しており、ほとんど素のままとも思えるほどの自然な演技で老婦人を演じ、最優秀女優賞を受賞したケイティ・ジョンソンと、5人組の泥棒のボスを演じる名優アレック・ギネスの好演も光っている。1955年公開作とは思えないほど、カラーの画質も良い。
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[ DVD ]
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ハワーズ・エンド [DVD]
・アンソニー・ホプキンス ・ヴァネッサ・レッドグレーヴ ・ヘレナ・ボナム・カーター ・エマ・トンプソン
【パイオニアLDC】
発売日: 2001-07-10
参考価格: 4,935 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 11,000円〜
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・アンソニー・ホプキンス ・ヴァネッサ・レッドグレーヴ ・ヘレナ・ボナム・カーター ・エマ・トンプソン
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カスタマー平均評価: 4.5
「一番好きな映画」の中のいちばん 好きな映画を一本に絞りこむのは難しいけれど、どうしても一本と言われたらこの映画を挙げるだろう。ただ万人向けではない。友人に勧めたら「つまらない」の一言が返ってきたし、好みの分かっている人に対しては勧めにくい映画だと思う。ただ、すべてにおいて一流だということは好みに合う合わぬは別にして価値があると思う。映し出された自然、人間の表情の陰影、建物の存在感、鑑賞に値する演技、小道具など細部に至るまで、何度見てもため息が出る映画です。
文学を映像でみる楽しさを満喫させてくれる傑作 複雑でありながらシンプル、崇高にして世俗的、夢みるようでいながら現実的、というイギリス文化の多彩な要素を、かなりコミカルに描いた傑作だと感じます。そして映像の気高いほどの美しさよ!ブルーベルのシーンには、まるで金脈を掘り当てた人のようにぞくぞくしました。
ところがこのお話はそう易々と見る人をほろ酔い加減のままにはしておかない。絶妙なペースでお話は進み、あっ、と思うような展開へと進んでいく。この意外性もまたこの作品の魅力であると思います。
俳優たちのアンサンブルが素晴らしい。ホプキンス、トンプソン、カーターはもちろんですが、早々と姿を消してしまうウイルコックス夫人を演じたヴァネッサ・レッドグレーブの存在感にはため息が出ます。音楽のようなその英語をもっと聞いていたかった。夫人はハワーズ・エンドを自分の分身と考えていたのでしょう。だからいちばん愛してくれる人に残したかった。彼女が書いた書き付けは燃やされてしまったけれど、結局はその思い通りになったのですね。亡くなってからも存在感を感じさせる役どころに、レッドグレーブはぴったりでした。
これは一回見るだけの映画ではないようです。DVDの棚の中でも、特等席において、何度も楽しむ作品だと思います。
イギリス人の家観と翻弄される運命 イギリス人は自分の家を持ちたがり、家をすごく大事にする、古ければ古いほど価値がある、ということを、イギリス留学中に聴いたことを思い出しました。そういう、イギリス人の家に対する執着というのは、お天気が悪い日が多いイギリスでは、家の中で過ごさねばならない日が多いからかもしれません。家は心地良いようにいろいろと工夫し、改装したり、調度品を置いたりと、手がかけられているのが一般的です。
ハワーズ・エンドもそういった思い出やイギリス人の価値観が現れているのだなあと思いました(ちなみにイギリスでは、家に番地ではなく名前をつけることも習慣としてあります)。その運命の家、ハワーズ・エンドを巡って繰り広げられる一組の上流階級の姉妹とハワーズ・エンドの持ち主の上流階級の家族ウィルコックス、そして翻弄される貧しい労働者階級の夫婦。聡明な姉の役をエマ・トンプソンが見事に演じています。ヘレナ・ボナム・カーターの自立心の強い、イギリスの上流階級のお嬢様もピッタリはまっています。薄幸の青年、レナード・バストは労働者階級だけれども、心に詩があり、宇宙があり、音楽がある人。
階級制度の厳しいイギリス社会の中で、家や財産を巡って一方では駆け引きや邪推が存在し、一方ではかけひきとは全く関係の無い無償の愛や、人を信じる純粋な心、詩心が描かれています。しかし、現実の厳しさと運命の理不尽さの前にやがて人々は翻弄されていく。その人間模様とは対照的にさまざまな花が咲き、緑がしたたるイギリスの自然の美しさが織り込まれ見ごたえのある名画でした。一面、ブルーベル(つりがね草のような青い花)が咲く森の中をレナードが歩くシーンは幻想的で美しく心に残りました。
一瞬たりとも目が離せません 一時期、イギリス映画ばかり見ていた。特に、ジェイムズ・アイヴォリー監督作品はどれもすばらしいものばかりである。ブルーベル(野生のヒヤシンスの仲間だと思うのだが)の群生する森を、レナードが彷徨うシーンをもう一度見たくてDVDを買うことにした。そのシーンはもちろん、古いハワーズ・エンド邸とその周りの風景、ウィルコックス家の家具、インテリア、壁一面の絵画、よく手入れされた緑の絨毯や大木に咲き乱れる花、イギリスらしい野の花が所々に織り込まれ、スローモーションで観たいくらい全てが美しく、格調高い映画である。ハワーズ・エンドの呪いとも思える殺人事件が起きてしまうのだが、それほど怖いシーンではなく、穏やかなハッピーエンドとも言えるので、何度でも観たい映画のひとつになった。
映像と同様に音楽もすばらしく、「モーリス」と同じ、リチャード・ロビンスが手がけている。作品中、象徴的にベートーベンの「運命」が流れるのだが、レンの「頭痛」と、汽車の「騒音」と、「運命」とを重ね合わせるテクニックは凄いと思った。こういう良質の作品を観てしまうと、同じテーマ曲を流すだけのTVドラマが安っぽく見えてしまうのが悲しい。
静かな美しさ、アイヴォリー・ワールド オープニングの美しいピアノの調べ…
ウィルコックス夫人のドレスの衣擦れの音…
ここからすでに画面にひき付けられてしまう。
美しい映画である。それにも増して上品。
若い頃には静かな内容にこんなに感動しただろうか?
人生を積み重ねてみれば、
より心に響くように感じる登場人物の台詞の数々。
私自身はこの映画でエマ・トンプソンのファンになった。
彼女は原作のマーガレット役にぴったりだと思う。
夫の過去の不貞を知り、マーガレットが激しく泣き崩れるシーン
(このシーンは原作にはなかった様に思うが…?)や駅のシーン、
クリの木の話など印象に残る。
美しい映像はレナード・バストが迷い歩く森の中の紫色(青?)の「つりがね草」の群生の場面にも現われている。
字幕には「つりがね草」とあり、ラベンダーかと思って図鑑でも調べたが違っていた。
(どなたかも仰っているように、これはイギリスの森の中で良く見られるブルーベルの群生だった。)
ここはいつ観ても美しいシーンである。
何度も観たい映画はそうありはしないが、
私にとって「ハワーズエンド」はそのナンバーワンに挙げられるかも知れない。
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[ DVD ]
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ビクトル・エリセ DVD-BOX - 挑戦/ミツバチのささやき/エル・スール
・アナ・トレント ・フェルナンド・フェルナン・ゴメス ・オメロ・アントヌッティ ・オロール・クレマン
【紀伊國屋書店】
発売日: 2008-12-26
参考価格: 15,120 円(税込)
販売価格: 11,294 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 11,000円〜
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・アナ・トレント ・フェルナンド・フェルナン・ゴメス ・オメロ・アントヌッティ ・オロール・クレマン
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カスタマー平均評価: 4
ビクトル・エリセはやっぱりすばらしい 20年以上前にスクリーンで初めて「ミツバチのささやき」を見たときは、何ともいえない衝撃でした。こんな映画があるんだ、と映画の奥深さにふれた思いでした。その後テレビで放映されて再び見たときに驚いたのは、一つ一つのシーンが本当に鮮烈に自分の中に残っていたことです。フランケンシュタインの映画を見るアナの大きな瞳、遠くまで続く一本道を自転車で下るシーン、線路に耳をつけ遠い響きを聞くシーン、炎の上を飛び越えるシーン、お母さんに髪をとかしてもらうシーン、大きなカップでミルクを飲むシーン。そして、有名なリンゴをあげるシーン・・・あげたらきりがありません。映像の一つ一つ表情の一つ一つがが詩的であり心を打つ、まさしく「映画」といえる作品です。それをDVDとして自分の手元に置ける喜び。復刻してくれてありがとう!
デザインは東北新社、画質は紀伊國屋書店 東北新社版をオークションで買おうか迷っていましたが、
今回ビクトル・エリセ自身の監修で再販ということで、こちらの紀伊國屋書店版を購入しました。
かなり明るく鮮明な映像になっていますので、暗闇の中の神秘性やノスタルジーは控えめになったのかもしれません。
しかし、「よく見えない」というようなストレスは減りましたし、見終わった後の疲れもなくなりました。
☆を1つ減らしたのはパッケージデザインです。
外箱の重厚な雰囲気や色合いは決して悪くはありません。
しかし3枚のDVDケースのパッケージは、外箱のイメージをなんとなく受け継いでいるものの、安っぽさを感じます。
使っている画像の解像度が荒く、文字の配置が乱暴で、エリセ作品にしては慎重さと繊細さに欠けています。
ブックレットも内容は充実していますが、ただ流し込んだだけのような文字、変な罫線や黒だまりが気になります。
サイトの画像で見る限りDVDケースのパッケージは東北新社版のほうが良さそうです。
しかし、どちらのDVDボックスを買うにしても、エリセ作品のすばらしさは変わらないわけですから,
今購入を考えている方には比較的値段の安価なこちらのDVDボックスをおすすめします。
YouTubeで比較してみました 商品が送られて来たので早速「ミツバチのささやき」を見てみましたが
画像は東北新社版よりは幾らか良いと思いましたが正直なところ期待はずれ
でした。全体に画面の調子は暗いしシャドウのデテールは潰れて良く
解らず見ていてイライラさせられて途中で見るのを放棄してしまいました。
YouTubeは解像度が低いもののクライテリオン版のクオリティの
高さに納得させられました。クライテリオン版よりも上質という売りの
様ですがそうでは無かったし、エリセの監修という事にも首を傾げさせ
られました。クライテリオン版は絵がとても奇麗でシャドウのデテールも良く
解り音質も良いと思います。これから買うのなら私ならクライテリオン版を強く
お薦めします。ですので画質についてだけの評価としては☆二つです。
期待し過ぎるとがっかりするかもしれません。
追記:「銀盤生活」サイトのVictor Erice's Roomで東北新社版を含めた
海外各社の画像比較が見られます。比較の参考になるかもしれません。
スペイン語と英語の字幕をつけてくれれば・・・ 幸いにも、「ミツバチのささやき」も「エルスール」も未見です。『幸いにも』と書いたのは、お楽しみがこれから待っているからです!
観ていないのに評価するな!と言う方が多いと思いますが・・・すいません!
字幕は日本語のみのようですが、できればスペイン語の字幕と英語の字幕もつけてほしかったなぁ・・と、それと・・価格をもう少し安くしてほしかったなぁと・・・それと、できれば、バラ売りで出してほしかったなぁと・・それと、「マルメロの陽光」もつけていただければよかったなぁと・・・それと、最初から、フィルムを補修してリマスターで出してほしかったなぁと・・・そんな感じです。(笑)
本当の魅力 「挑戦」を手元に置きたいが為に予約購入しました。
東北新社版とこちらの画質に関しての画質の違いが騒がれているが、
目に見えて明らかに違うのは、明るさと色調。
同じシーンでも夜と真昼くらいの明るさと色調の差があり、
明け方4時?5時だと思っていたカットが8時?9時くらいに観える。
だがエリセの作品に関して「きわめて重要」なのは、
表面的な見た目や印象に左右されない、精神的・霊的な部分にあると思う。
それは、エリセがフィルムのオプチカル処理〈後処理)を極力嫌い、
多くのカットで室内照明は自然光を利用している事からも分かる。
余計な事をしない、ありのままを映す事を優先する撮影手法だ。
フィルム映画というのは、映写機の光源(ランプ)によって明るさが変化する事を
見越して撮影するのが普通であるから、そもそも暗くても、明るくても、
許容範囲を持たせて、平均的な露出で撮影するものである。
エリセのフィルムは、液晶、プラズマ、ブラウン管、プロジェクタ、PCモニタ等、
個々の視聴環境に印象が左右される度合いが極めて少ない稀なフィルムだ。
どうか「画質」や「特典」、○○版が良い、という言葉に惑わされる事なく、
東北新社版でも、紀伊国屋版でも、VHSでもLD良いので大切にして欲しいと思う。
まだ未入手の方への私のお勧めは、
この紀伊国屋版を購入後、オークション等で東北新社版バラ売りを探し入手する事。
エリセのインタビューDVDは、一見の価値があると思う。
機会があれば東北新社版ミツバチのささやきを観て欲しい。
かなり暗いのだが、その分フィルム的なノスタルジックな美しさがあると思う。
フィルムやVHSの荒れた映像では非常に美しかった映画が、
デジタルリマスターDISKで観ると、あまり美しく見えないというのは、
特にヨーロッパの芸術映画によくある話なので。
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[ DVD ]
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野いちご [DVD]
・ヴィクトル・シェストレム ・イングリッド・チューリン ・グンナール・ビョルンストランド
【ハピネット・ピクチャーズ】
発売日: 2001-07-25
参考価格: 5,040 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 11,000円〜
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・ヴィクトル・シェストレム ・イングリッド・チューリン ・グンナール・ビョルンストランド ・イングマール・ベルイマン
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カスタマー平均評価: 5
優しいベルイマンがここに イングマール・ベルイマンの論理的で厳格な創作スタイルが好きだ。
しかしこの「野いちご」は、そういったベルイマンの作風とはひと味違う。優しさに満ち溢れた作品世界となっているのである。
とは言え、登場人物の言葉のなかに直接メッセージを提示するいつもの手法は変わらず貫かれている。
回想録とロード・ムービーをステージにした哲学映画で、ベルイマンの代表的傑作であると同時に彼の入門篇としても勧めることができる1本。
2つの旅、ロードムービー ベルイマンというととかく高尚な香りがして手が伸びなかったんですが、本作はそんなイメージを覆される傑作でした。
式典会場へ向かう道中で起こる出来事と、途中老人イサクの見る夢の数々が巧みに交錯し、一人の老人を通して内外2つの旅をするような、そんな贅沢なロードムービーでした。車という舞台装置、行く先々で会う人々との対話、そして自己との対話。ロードムービーの概念はベルイマンが57年に確立したんでしょうか。時間や脳内を行き来することが、物語をより魅力的に伝えることを可能にする。これこそ映画的な表現だと痛感しました。
そして何より言いたいのが、「あは」と少し笑ってしまうような「面白い映画」だったってことです。堅物老人が旅を経て少し温かさを取り戻すやり取りの一つ一つがユーモラスで、ある種「ブロークン・フラワーズ」 と同じ余韻を味わってる自分がいるんです。重苦しい主題を重苦しく感じさせない語り口、それが素晴らしかったんです。
secluded. 老人が人生を回想する場面が続くせいか、
すぐに「永遠と一日」を思い出したのだが、
完成度はこちらがはるかに上。
非現実のイメージを次々と繰り出すもっとも安易な手法といえば
やはり回想ということになるだろうが、
繰り出される回想的な場面それぞれの強度、喚起力の高さは他に類を見ない。
また軸となる年老いた主人公の悲しみに向けられたベルイマンの視線の厳格さは
この映画を特別なものにしている。
物語が終盤にさしかかった頃、弟の嫁が主人公に向かって
主人公の一族への絶望感を語る場面は圧巻で、
鑑賞者は、この男の抱えているらしい孤独や自己嫌悪が
成功者にありがちなナルシスティックな憂鬱の類とは異なり、
ひじょうに根源的で救いのない種類のものであることをはっきりと気づかされる。
その瞬間、鑑賞者はすべてから隔離された悲しみの核を見ることが出来る。
またこの映画は信頼について語っており、
世界に心を預けるとはどういうことなのかを問うている。
開かれた心を持たない悲しみを、主人公の弟は自覚的かつ直接的に語り、
対照的に、主人公は、それについてはほぼ無自覚のまま、
認識の死角から沸々とわきあがる不吉なイメージに翻弄され、
ひたすら回想と夢に自らをドライヴさせ、うろたえている。
いわゆる「誠実な」映画を好む向きは
この作品の派手さにうんざりすることもあろうが
私にはこの映画のサービス精神が心地よかった。
人生のむなしさとやすらぎ 死を目前にした老年の教授。表彰式の朝、不吉な夢をみる。自分の棺おけが目の前にあらわれるのである。式場への旅の途上ではにがい回想にふける。社会的には最高の栄誉にかがやきながら、偽善にみちた、なんとむなしい人生であったことか。
途中で車にのせたひとたちは、平凡に生きるひとたちである。かれらのおしゃべりが、教授になにかをもたらしたに違いない。さらに式典のあとで青年たちのあいさつをうけて、しだいに肯定的な気分になる。そしてやすらぎが訪れる。ひとの意識を映像化した稀有の作品です。
追悼 ベルイマンその名の響き 「野いちご」は、老人の名誉の授賞式に向かう車中がいろいろと内容濃いものの詰まりものだった。
キリコの街のような夢のエピソードがこわくて楽しい。
フロイト的でもあるイメージも満載だ。
ベルイマンが、まだ若いときなのに、こんなひとりの老人の精神風景をリアルに描くということに誰しも驚いただろう。
ぼくは半年ほど前にひさしぶりにビデオで見直してみたら、まさにそのとおり、どうしてこれほど切実感があるのだろう・・と数十年の時の流れも自らの精神の中に見つけたものである。
ああ、まだまだぼくは老人じゃないのですが(笑)。
この映画でも印象的な、息子夫婦の関係における夫婦、結婚における意地悪で悪意にも感じられるかもしれないほどの、男女の内部の真実をえぐりにえぐりつつも、
なぜかどこか普遍性を求めているとしか思えない愛への固執が、ベルイマンの、きっと神への問いかけとも通じるのかもしれない。
ご冥福をお祈りします。
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